肩からやや上の角度で投げるスリークォーターは、縦と横の回転を操りやすく、制球の安定性と球種の幅を両立できる投球フォームです。160km/h超の速球を記録した投手もおり、フォーム選びに迷う高校生や草野球投手にとって選択肢の一つとなります。
本記事ではスリークォーターの最速記録、メリットとデメリット、向いているタイプまでわかりやすく解説します。
スリークォーターとは?
スリークォーターは、オーバースローとサイドスローの中間で、腕を肩よりやや上(約45度)で振るフォームです。円を4等分した3つ目の角度から名付けられ、縦横の回転を自在に操れる柔軟性と、体幹の傾きが少なく回転軸が安定しやすい点が特徴です。
体を大きくねじらない構造で肩や肘への負荷が分散され、リリース位置も一定に保ちやすいため、狙ったコースへ投げ込みたい投手に適しています。
スリークォーターの最速投手は誰?NPB・MLB記録一覧
スリークォーターでも最速領域は十分に狙えるフォームです。
| 投手名 | 最速 | 所属 |
| 千賀滉大 | 164km/h | NPB(ソフトバンク) |
| 山本由伸 | 159km/h | NPB(オリックス→ドジャース) |
| 石垣元気 | 158km/h | 高校生(健大高崎) |
| チャップマン | 105.8マイル(約170km/h) | MLB |
| ランディ・ジョンソン | 102マイル(約164km/h) | MLB(ロースリークォーター) |
| メイソン・ミラー | 104.5マイル(約168km/h) | MLB(パドレス) |
NPBでは千賀滉大の164km/hが日本人最速タイに並ぶ記録です
MLBでは体格とトレーニング環境により100マイル超が珍しくなく、チャップマンのようにスリークォーターから170km/h超を記録する投手も存在します。
スリークォーターの最速の上限は、フォームの工夫と身体条件次第でさらに押し上げられる可能性を秘めています。
スリークォーターを支える3つのメリット
スリークォーターは、体の構造を活かした自然なフォームで投げやすいだけでなく、球速・コントロール・変化球の幅といったバランス面でも大きなアドバンテージを持ちます。学生から社会人まで幅広く選ばれ、試合を通してフォームを大きく変えたくない投手に適しています。
こちらでは、スリークォーターの最速を意識する場面でも実感しやすい3つのメリットを整理します。
球速が出しやすい
スリークォーターは体幹の回転を効率良く使い、腕の可動域を広く活かせるため、力強いボールを投げやすいフォームです。縦方向への加速と遠心力を両立でき、自然な体の使い方で球速を伸ばせます。
実際に世界最速レベルの記録も誕生しており、スリークォーターで最速を狙う投手にとって十分な伸びしろがあるフォームといえます。
多彩な変化球を投げやすい
スリークォーターは縦回転と横回転のどちらも自在に操れる位置から投げられるため、直球には強いバックスピンが入りやすい構造です。変化球では横成分をつけやすく、スライダーやカットボールなどの球種でキレを出しやすい傾向があります。
伊勢大夢のように、最速154km/hと複数の変化球を同じ腕の振りで投げ分けるには、スリークォーターが球質の幅を広げたい投手に向くフォームであることを示しています。
出典:高校野球ドットコム
肩・肘への負担が軽減される
スリークォーターは体を大きくひねらずに腕を振れるため、肩や肘の一部だけに力が集中しにくいフォームです。全身で力を伝えやすく、長いイニングを投げても動きが乱れにくいことから、フォームの再現性も保ちやすくなります。
オーバースローで肩を痛めた投手が一時的にスリークォーターへ切り替えるケースもあり、スリークォーターの最速を目指す場面でも、全身の負荷バランスを確認しながら活用したい投げ方です
スリークォーターの3つのデメリット
扱いやすいスリークォーターにも、フォームの個性や球速の限界、球質の不安定さといった気になる点が存在します。特にスリークォーターで最速を追い込むほど、フォームのわずかな乱れが故障や球質のばらつきにつながりやすくなります。
こちらでは、個性・球速限界・球質の3つの視点から、この投げ方で意識しておきたいリスクを整理します。
フォームの個性が打者に慣れられやすい
スリークォーターはプロ・アマ問わず使用者が多いため、フォーム自体に個性や脅威を感じにくい傾向があります。他の投法と比べて特徴が少なく、オーバースローのような「高い位置から投げ下ろす角度」やサイドスローの「特殊な軌道」といった独自性が出しにくい点がデメリットです。
球速・球威の物理的限界
スリークォーターはオーバースローに比べてリリース位置が低くなりやすく、その分だけ縦方向にボールを加速させる距離が短くなります。球速理論では、真上に近い位置から投げ下ろせるフォームほど重力と遠心力を利用しやすいとされ、この点でやや不利になりがちです。
とはいえ、チャップマンやランディ・ジョンソンのように、スリークォーター寄りのフォームから170km/h近くを記録した例もあり、フォーム効率や体格を磨けば十分な伸びしろが残されています。
ストレートがシュート回転しやすい
スリークォーターは縦横の回転を自在に扱える反面、腕角度のわずかな違いでスピン軸が変わりやすいフォームです。斜めの軌道で腕を振る特徴から、ストレートの回転軸が横向きになりやすく、シュート回転のボールになってしまうケースが出てきます。
参考サイト:First-Pitch
特に強く腕を倒してスリークォーターでの最速を狙う場面ではリリース高さも揺れやすく、球が意図より高く集まりやすいため、角度と腕振りを毎球そろえる意識が欠かせません。純粋なバックスピンの利いた「伸びる直球」を安定して投げるには、細かなフォーム調整が必要となります。
まとめ
スリークォーターは肩より少し上の角度から縦横の回転を操れる投げ方で、制球の安定や球質の幅、肩肘の負担分散をまとめやすいフォームです。一方で縦方向の加速距離が短く球速の上限は伸びにくく、スリークォーターの最速だけを追うと肘外側の負担や球質の乱れが出やすくなります。
千賀滉大が164km/h、山本由伸が159km/hを記録し、MLBではチャップマンが170km/h超を計測した例もあり、適切な条件が揃えば高速球も十分狙えます。自分の柔軟性や得意球種、目指したいスタイルと相談しながら、自分なりの形で取り入れていく姿勢が大切です。
























