皆さん、こんにちは!らむ@Toraco(@ram_toracolumn)です!
野球における戦術で、1点を争う試合において用いられるスクイズ。
キレイに決まると、見事な1点となるのですが、一方でそれなりにリスクもあるように見受けられることから、
と、疑問に思うこともあります。
果たして、スクイズという戦術は、有効なものなのか…。
そこで、本日は阪神タイガースをこよなく愛する生粋のToraco・私らむが、スクイズの有効性について、お話ししようと思います!
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そもそもスクイズとは
スクイズとは、ランナーが三塁にいる状況で、バッターがバントを使ってランナーをホームに返し、得点を狙うプレーのことです。
ちなみにスクイズは英語で「squeeze」と綴りますが、この単語は「絞る」という意味です。
2つの「スクイズ」
スクイズには「セーフティスクイズ」と「強攻スクイズ」の2種類があります。
セーフティスクイズは、バッターがピッチャーの投球を見てからバントを試み、ランナーがバントの成功を確認した後にスタートを切る戦術です。
一方、強攻スクイズでは、ランナーがピッチャーの投球と同時にスタートを切り、バッターは必ずバントを行うというもの。こちらは、バントが失敗した場合にはランナーがアウトになるリスクが非常に高く、成功と失敗の差が大きいプレーです。
スクイズは「確実に1点が欲しい」場面で有効
一般に、
とされています。
バッターがフライを打ち上げてしまったり、三振してしまったりするリスクを抑え、確実にバントでボールを転がすことで、ランナーを本塁に返す戦術です。
しかし、その一方で、バッテリーや守備陣もスクイズを警戒しているため、ピッチャーがバントしにくいような球…場合によっては大きく外すウエストボールを投げたり、内野手が前進守備を敷いたりと、スクイズを防ぐための対策が講じられます。
攻守ともに問われる技術
スクイズは、攻守ともに、チーム全体の連携と選手の技術が求められる点に、大きな面白さがあります。
攻撃側には、バントの技術はもちろん、三塁ランナーのスタートのタイミングが勝負を左右します。
そして、守備側には、バッテリーと打者の駆け引きや、内野守備陣の動きが問われます。
そのため、単なる1プレーではなく、チーム全体の戦略が問われる奥深さが、このスクイズからは見えるのです。
スクイズのメリットとデメリット
スクイズは、得点を確実に狙うための戦術として多くの場面で使用されますが、その効果には賛否があります。まずは、スクイズのメリットとデメリットを整理してみましょう。
メリット
1点が重要な場面で、スクイズは非常に有効です。
特に、試合の終盤や接戦で「ここで確実に1点が欲しい」という状況では、打者が内野フライや三振に終わってしまうリスクを減らすことが可能です。
成功すれば、相手に大きなプレッシャーを与え、流れをチームに引き寄せる効果も期待できます。
また、スクイズは相手守備にプレッシャーをかける点でも優れています。ランナーがスタートを切るタイミングに合わせてバントが成功すれば、守備側は一瞬の判断ミスや焦りでアウトを取れず、得点が生まれる可能性が高まります。
さらに、守備側がスクイズを警戒し、内野を前進させることで、バント以外の打球でも守備範囲が狭まるため、ヒットゾーンが広がるという副次的な効果もあります。
デメリット
一方で、スクイズにはリスクも伴います。
バッターがバントを失敗した場合、三塁ランナーはスタートを切っているため、ホームでアウトになる可能性が高く、得点機を無駄にするだけでなく、アウトカウントが増えるという致命的な結果を招きかねません。
そのため、相手バッテリーからすると、スクイズが想定される局面では、できるだけスクイズを失敗させるよう、ウエストボールを投げたり、あるいはキャッチングに自信のあるキャッチャーであればバントの難しい低めのフォークボール等を投げたりするなどして、三塁ランナーをアウトにしようと、あの手この手を使ってきます。
また、スクイズはリスクを背負う割には、1点しか狙えない戦術でしかありません。
そのため、打撃で大量得点を狙えるチームにとっては、リスクを背負ってスクイズによる1点だけにとどめるよりも、ヒットや長打で複数点を狙う方が有効なケースも多いため、戦術の選択が難しいところです。
スクイズ成功率とその有効性
さて、そんなスクイズですが、果たして勝利に向かう上で、有効なプレイだと言えるのでしょうか。
これを評価するには、成功率や得点効率に注目する必要があります。
一般的に、スクイズの成功率は打者やチームのバント技術、相手投手や守備の状況によって異なりますが、概ね70%から80%程度とされています。これはかなり高い成功率に見えますが、問題はその成功がもたらす得点効果がどれだけ大きいかです。
得点期待値は決して高くない
例えば、得点期待値という観点から見てみると、無死または一死三塁の場面でのスクイズは、単にヒットを狙ったり、犠牲フライを打ったりするよりも期待値が低くなるケースがあります。
これは、スクイズが基本的に「1点を確実に取りに行く」戦術であるため、アウトカウントが増えることで後続の得点機会が減少するからです。特に、強力な打者が控えている状況では、あえてスクイズを選択することがリスクとなることもあります。
セイバーメトリクス的にも微妙…
また、最近の野球では、データに基づいた戦略(セイバーメトリクス)が重視されるようになり、スクイズはその観点から見てもあまり推奨されない戦術となっています。
セイバーメトリクスによれば、1アウトやノーアウトでのスクイズは得点期待値が低く、むしろ強打を狙った方がトータルで得点が多くなるとされています。そのため、プロ野球やMLBではスクイズの使用頻度が減少しつつあります。
「一発勝負」の高校野球などでは重要性も
しかし、一方で、高校野球やアマチュア野球では、スクイズは依然として重要な戦術とされています。
これは、技術やパワーに頼る打撃よりも、確実に点を取ることが重視されるためです。
特に、ピッチャーのレベルが高い場合や、1点が勝敗を左右する状況では、スクイズが効果的な選択肢となります。
また、プロ野球においても、クライマックスシリーズや日本シリーズのように、「負ければそこで終わり」のような状況であれば、「入るかどうか分からない大量得点より、確実に入る1点」の方が大事なこともあり、そういった状況ではスクイズも重要な選択肢となってきます。
こうした点から、スクイズは全く無意味ではなく、状況に応じて使い分けるべき戦術だと言えるのです。
まとめ
以上、本日は、スクイズの有効性について、考察させていただきました。
スクイズは、野球の中でも特に緊張感のある戦術であり、成功・失敗にかかわらず、ファンにとっても強く印象に残ります。
しかし、その有効性については賛否が分かれるのが実情です。
確実に1点を取りに行くことが求められる状況では非常に効果的ですが、成功させるには高い技術が求められ、リスクも伴います。
また、得点期待値やセイバーメトリクスの観点から見ると、スクイズは必ずしも最適な戦術とは言えず、プロのリーグ戦ではその使用頻度が減少しています。
一方で、高校野球やアマチュア、またプロでもシリーズ戦のような「一戦必勝」の状況では、スクイズは未だに重要な得点手段として活用されています。特に、守備が堅くピッチャーのレベルが高い試合では、1点が試合の流れを大きく左右するため、確実に得点を取るスクイズが重宝されます。状況に応じた柔軟な戦術の選択が、チームの勝利に結びつくのです。
結論として、スクイズは「意味があるかどうか」を単純に「イエス・ノー」で判断できるような性質のものではなく、その場面やチームの戦略に合わせて、活用すべきかどうかを決めるべきものです。
適切なタイミングでスクイズを行い、そしてこれを確実に決められるかどうかが、勝負の分かれ目になることも多いのです。
スクイズはリスクを伴う戦術でありながらも、そのリスクがあるからこそ、そこに野球の面白さが詰まっているということができるかもしれませんね。